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トランプ米国を迎え撃つ
習近平の外交感覚とは?《後編》
中国の対日姿勢について

中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」

一月一九日にも海上自衛隊ヘリに対して同様の行動があった。日本は中国に対し厳重抗議を行った後は、勝手に「海軍の下っ端の暴走事件」というような解釈で、政府もメディアもうやむやにしてしまった。

 習近平政権としては日本が挑発に乗って軍事行動を起こせば、それを理由に局地的衝突に持ち込む気であったとみられる。このころは、米国は中国よりも日本の軍国主義化のほうを警戒していると、少なくとも中国は考えていた。続いて二〇一三年一一月に中国が一方的に東シナ海上空にADIZ(防空識別圏)発表したのも、こうした日本挑発のシナリオに従ったものだろう。

 だが習近平に大きな誤算があった。

 一つは、日本政府がこの手の挑発に非常に忍耐強く、日本人は良くも悪くもこうした危機に鈍感であったということ。

 そして中国のこうした危険な挑発はむしろオバマ政権にいっそうの警戒感を与える結果となった。

新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』重版出来記念。本文記事一部公開。

 

著者略歴

福島香織(ふくしま・かおり)

1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。最新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』(KKベストセラーズ)が発売即重版、好評発売中。

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